ラリー

第6回シャープさんの寸評恐れ入ります

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こんにちは、前向きとは無縁な @SHARP_JP です。時々思うのです。自分は、過去の自分に「こんなことが起こるんだぞ」と語りかけるために、ひいこら生きるのではないかと。過去の自分に「いまもしんどいだろうし、これからもしんどいけど、お前が思いもしないことはいくつか起こるし、その時に私はお前に自慢したい。だから生きろ」と約束させ続けるために、人生は続くように思う時があります。そしてそんな時は、現在の自分が過去の自分をようやく祝福できたようで、悪くない瞬間でもある。


自分で自分を肯定するのは生きる上で必須なことだけど、なかなか難しいことでもあって、私たちはいつも事後的に過去の自分を肯定することでしか、自分で自分を褒めてあげられないのかもしれない。辛いな。


(今回の寸評)猫と私の漫遊記(まきはるか著)



読んでいて胸が苦しくなりました。「もう頭の中はからっぽだよ」「描いても描いても私の漫画は誰にも届かない」そう絞り出す作者は、うまくいかない現在の自分を持て余し、必死に努力している事実しか、創作を継続させる根拠が見つからない。そこへ過去の作者自身=猫のトトが現れる。猫はどんどん時間を遡るように、現在の作者を導いていく。浅い過去には、殺風景な自世界が広がっているのがリアルだ。深い過去、幼い頃まで遡った時にようやく、楽しそうな場所と楽しそうな自分が現れる。幼いころの自分を自分が見上げる、ここのコマは圧巻だ。


たぶん表現(もしくは芸術と言っていいかも)は、自分を覗き込むことからしかはじまらない。自分を覗き込むことなく表現を試みると、「自分が好きなものがわからなく」なるまで、からっぽを進行させる。だれかの心を動かすには、まず自分の心を差し出さなければいけない。人の感情は、感情にしか反応しないから。だからこそ表現は、自分を覗き込むという、とてもめんどくさい行為を丁寧に続けなければいけないのだ、とあらためて考えさせられました。


もちろん自分を覗き込んだからといって、すぐに他者からの評価を獲得できるわけではない。そこへいたるには膨大な訓練や試行錯誤が必要とされるのも、また表現の過酷さなのでしょう。表現する人の進む道は茨の道だけど、過去の自分から掬い出された物語は、少なくとも現在の自分を肯定するはずです。がんばってください。


とここまで書いて、いったい私は何様だという思いに捕らわれたので、静かに自分を覗き込もうと思います。真っ暗闇が広がってそうでこわい。それはそれで人間として問題な気がする。


追伸ですけど、作者のまきはるかさんが、自分と自分の世界を描けばいいことに気づき、もう一度がんばってみようと思ったきっかけは、まさにここ、コルクBooksだったそうです。もし行き詰まりを感じるマンガ家さんがいらっしゃるなら、マンガ家さんが切磋琢磨しあうコミュニティ、ちょっと覗いてみてもいいかもしれません。

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6日前
勇気をもらえる文章で涙が出ました。
6日前
『人の感情は、感情にしか反応しない。だからこそ表現は、自分を覗き込むというめんどくさい行為を丁寧にしなければいけない。』
すごく素敵な表現ですね。
コルクBooksももっと頑張ります!
6日前
毎回楽しく、タメになるなぁと読んでます。自分は評価してもらう側なので、これを糧に頑張らないといけないのですが、わかる〜!と共感して、一読者になってしまっている自分がいます。これではいけない。自分を見つめます…。
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