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シャープさんさんの作品:ファッションは記号だ。会社だって恋愛だって、好きな服を着ればいいと思った話。

寒くなってきました。みなさんもうコート着てますか、 @SHARP_JP です。オシャレかダサいかは別にして、私もそれなりに着る服のこだわりや好きな服の感じがあります。オシャレかダサいかは別にして。


オシャレにしろダサいにしろ、ファッションは記号です。色、形、スタイル、描かれた柄、ブランド、無数の選択肢からどれを身に纏うかを選ぶことはすなわち、あなたがどういう価値観や美意識を持ち、なにが好きでどんな人間か、発信する行為。つまり私が好む服やスタイルも、イコール私が他者からどう見られたいか、なのだと思います。極論すれば、ファッションに無頓着というのも「私はそういう方面に構う人間ではない」というサインなのでは。


だから働く場所では特に、服装を自由にした方がいいと思うのです。会議でもプレゼンでも、コミュニケーションを円滑にするには、お互いの「人となり」がわかりあえた方いいですよね。それもなるべく速く。もし服装が自由なら「全身ブランド物だ」「シャツは第3ボタンまで開ける人」「あのバンドTじゃない?」「逆に私服は無頓着なんだ」「噂に反してかわいい系が好きっぽい」などと、相手を理解する記号量がグンと増える。言葉を交わすより前に、服装から「相手がどう思われたいのか」というメタメッセージを受信でき、それにあわせてふるまいや喋り方すら変えることもできる。


みんながスーツや制服を着ることで、匿名性という逆の記号によって組織のパフォーマンスが向上するという考えもわかります。けれどこれだけスピードが求められるご時世、職場のつきあいを通して徐々に「人となり」を理解するより、瞬時に「この人はどういう人か」わかる方が、有益な気がするのです。


あなたが幸せになる方法(池田ルイ 著)


なんだか辛気臭い話をしてしまいました。職場のコミュニケーションに自由な服装がいかに貢献するかはともかく、だれでも「なにを着るか」が最重要なイシューになる時期がありますよね。そう、恋愛です。


恋愛中のファッションは大問題だ。なにしろあなたのファッション、記号を発信する相手は好きなあの人だけ。イチかバチかだよ、恋愛は。この作品で描かれる女子大生のモノローグを読むたび、彼女のファッションの「正解の少なさ」に同情を禁じ得ない。なにしろ片思いだし。


そしてその「正解の少なさ」は、とても疲れる。なぜなら、片思いで選択するファッションには「私はこう思われたい」「私をこう理解してほしい」という要素が含まれないから。記号はすべて「あなたがどう思うか」しか許されない。しかも正解は相手しか知らないし、合否を教えてもらえるとも限らない。


本来、自分を理解してもらうために選び、身に纏ってきたファッションが、片思い中は反転してしまう。選択の主体性は奪われ、正解もわからない。その片思いが成就するならまだしも、うまくいかない場合は、服を選ぶたびに、自分を削り続けてしまうのだ。それはとても危ないことだし、自分が削れてなくなってしまう前に、ファッションを自分の手に取り戻さなければいけないと、私は思います。とても難しいことだろうけど。


そう、本来なら「私はこう思われたい」という記号を発信し、その記号が素直に受信され、もっと理解したいという人が現れた時こそ、ほんとうの恋愛がはじまるのではないでしょうか。じゃないと続かなくない?自身の経験と照らし合わしても、そう思います。少なくとも私は、「私はこれが好き」という記号を堂々とふりまく人が、好きです。そんな人は例外なく、この作品のラストのように「私は私。私は好きなの」という清々しさをいつも纏っていて、私にはそれがとても魅力的に映るのです。


みんな、好きな服を着ればいいと思う。


今回は慣れないことを考えたので疲れました。ファッションも、恋愛も、ほんとうはちょっと苦手だ。私含めて苦手な面々は、恋のマンガを読もうよ。

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