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わたしだけの秘密の愛し方 by みずけん。nc-0 わたしだけの秘密の愛し方 by みずけん。nc-1 わたしだけの秘密の愛し方 by みずけん。n-2 わたしだけの秘密の愛し方 by みずけん。n-3
そして受け継がれていく


<エピソード5>

子供の頃。母が父の為に淹れるインスタントコーヒーの香りで目を覚ますのが、私の毎朝の風景でした。樽の形をした大きなおおきなマグカップになみなみと注がれた、砂糖とミルクたっぷりのコーヒー。いつも子供ながらに不思議に思っていました。なんでこんなに縁いっぱいにお湯を注ぐんだろう。もっと少なく注げば運びやすいのに。たまに最初のひとくちを失敗してこぼす父。もー!と怒りながらも楽しそうな母。幸せな記憶は甘いコーヒーそのものでした。父が亡くなり、母がコーヒーを飲まなくなってから暫く経ち…大人になった今、ふと気付いたことがありました。私も、マグカップになみなみと注ぐのが癖になっていること。運びづらいし、飲みにくいのに。でも、楽しい。一杯のコーヒーが、たくさん美味しい。あの頃の母の想いが、今になってやっとわかった気がします。

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