コラム
たられば
7日前
たらればさんの:第3部 凄絶な炎上体験と、それでも読み手を想うこと0

第3部 凄絶な炎上体験と、それでも読み手を想うこと

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すさまじい炎上の経験


たられば:さあ続いて、炎上した経験はありますか? それはどんなもので、どう対処しましたか? これはオフレコになる可能性があるんで、話せる範囲でかまいません。
浅生鴨:あんまり言いたくない話ですけども…。たとえば「炎上とは何か」っていう話もあるんですが、ツイッターの中だけで閉じてるんであれば、僕はそれは炎上とは思っていません。極端にいうと、そこで閉じているなら何が来ようと知ったことじゃないです。でもそれが現実に、コールセンターにばんばん電話かかってくるとか、新聞の一面に載るとかなってくると、それはやっぱり炎上だなと。ネットの外にはみ出て、リアルまで及ぼして来た時に、それはまぁ炎上というか、騒動だなって思うんです。
たられば:それはまあ…大炎上ですね…。

浅生鴨:実際に騒動が起きたのは、エイプリルフールの時に(いわゆる「四月バカ」の嘘の投稿として)「今後、民放は全部一緒になってひとつの放送局になって、政府の言い分をそのまま流すことになるでしょう、青バックで和服を着たアナウンサーがニュースを読むでしょう」みたいなことをツイートしたんです。
たられば:いまや、4月1日に企業アカウントがいっせいに嘘の投稿をするのはツイッターの風物詩になりつつあります。その「はしり」みたいなものですね。
浅生鴨:ところがそれが東スポの一面に「NHKバカッター」っていうふうに載りまして。
たられば:東スポに。
浅生鴨:それで、たまたまその日にNHKの会長がどっかに視察に行くっていう日で、普段は車で移動するのにその日はたまたま地下鉄を使ったんですよ。そしたらキオスクに刺さっている東スポに「NHKバカッター」って書いてあるので、「これはどういうことだ?」ってなって。
たられば:運が悪すぎる。
浅生鴨:それで、まぁ「説明したまえ」と。ただ、僕の周りにいた人たちは「東スポの一面はなかなか取れねぇよ」って。まぁ広報の人なので、「東スポ一面見事!」みたいな感じでむしろ褒められました。

たられば:会長からは怒られなかったんですか?
浅生鴨:いやその時はなんか、説明だけでした。報告書みたいなものを書いて、その頃は僕の存在は社内的には秘密なんで、会長にも秘密でしたから。あいだに何人か経由して説明したっていうのがひとつ。もうひとつは、「東北にみんなボランティアに行け」っていうツイートをしたことがありまして、震災の後に。これはですね、僕がずっと仲良くしてた東北地方のとある食品メーカーに「人殺し」って毎日毎日電話がかかってくるんですよ。食品メーカーだから、登録の食品を、それは2012年2月になってもいまだにそれはもう毎日毎日検査して、なんの問題もないのでって出荷しているにもかかわらず、「人殺し」とか、「すぐに会社をたため」っていう苦情をずっと受けてるんだよねっていう話を聞いてて。
たられば:ひどい話ですね……。
浅生鴨:それで、まぁ、タイムライン上でもやっぱりそういうのを見かけたので、「ヘイトスピーチをネット上でやっている人たちは、東北に一回ボランティアに行けばいいと思う」っていうことを、半分は僕の感情でもあり、半分は「パブリックというものをちゃんと守りたいな」ってのもあり、書いたんです。
たられば:大変いい話だと思います。

浅生鴨:ところが、これがたまたま、その週だか前の週だか忘れたんですけど、新大久保でヘイトスピーチをやった集団がいて、それは在日韓国の人たちに対するヘイトスピーチをやっていて、その人たちが「俺たちのことか」っていうふうになっちゃったんですよ。
たられば:まさかの流れ弾。
浅生鴨:こっちはそういうのをやってるのをまったく知らなくて、あくまでもその食品会社の話として「ヘイトスピーチをしてる人たちは」って書いたんですけど、そしたらその人たちがすごい怒っちゃって、コールセンターに千数百件の電話がありました。これはもう業務が止まるレベルです。
たられば:なんと。
浅生鴨:しょうがないから「もう僕、辞表書いて辞めます」って会社に言ったんですけれども、「いやいや待て待て、お前がやったことは間違ってないよね、言い方には問題があったかもしれないけど、事実として間違ってないよね」っていう話になりまして。
たられば:NHKっていい会社なんですね。
浅生鴨:そのコンセプトとか、民主主義を守るとか、パブリックっていう概念に照らし合わせたときに間違ったことは言ってないんだから、辞める必要はないっていう、ただしばらくはおとなしくしろっていうことが起きたっていうことですね。それと、すごく怒る人と守ってくれる人がいるっていう両方のあいだで、ちょっと面倒くさいなって思いました。


7年のうち5年はやばい時期


たられば:SHARPさんどうですか?
SHARP:僕の会社って……、僕、7年くらいツイッターやっているんですけど、前半の5年くらいはずっと(SHARP本体の)経営がやばい時期だったんですよ。
たられば:あー……。
SHARP:なので、株価が下がるとか、3000人リストラするとか、だいたいその5年って、朝起きて、出かける前にニュース番組をつけたら自分の会社の話をやっている。テレビとか新聞とか、迂回して自分の会社のことを知るっていう日々で、その中で毎日ツイートするっていうことをずっと続けていたんです。
たられば:フォロワーさんから「これどういうことですか?」って聞かれても、情報源が同じだったりするわけですね。
SHARP:それで、株価が下がったら、30人くらいから「死ね」って(直接リプライが)くるんです。たぶんトレーダーとかされてる人とかから。そういう状況でも「僕は関係ないやん」っていうふうには言えないですよね。一種のステークホルダーなんで。
たられば:向こうからすれば、テレビにボヤいているような気分でしょうけれども。

SHARP:言われたこちらとしては、ちくっとはするんです。ツイッターやっている人とトレーダーの人って相性がいいというか、両方やってる人が多いんですよね。そういう場面で、なんていうか、僕は基本的には軒先でツイートしているんですけど、母屋はいつもボーボー燃えてる…みたいな感じでやっていまして。
たられば:壮絶な状況ですね。
SHARP:そういう時に、燃えてないふりして、まったく平気な顔してツイートしてるって、変ですよね、人間として。
たられば:うーん…まあ……確かに。
SHARP:基本的に、「燃えてる」って認識してるってことは示したほうがいいと思っていたし、それはちゃんと言うようにはしていましたけれど、一番しんどかったのは、たぶんさっきの鴨さんの話と近いんですが、僕の会社は結果的にはそうはならなかったんですけども、韓国の企業と一緒になるっていう報道があって、その時は本当に、「死ね」とか「殺す」だとか、滝のようにきましたね。
たられば:滝のように「死ね」とか「殺す」が……。
SHARP:午後のあいだずーっと、数千件きました。「殺す」とか、「殺しに行く」とか。
浅生鴨:文字なんだけど、やっぱり数見るとキツいよね。
SHARP:体に変調をきたします。さすがに夕方、僕ゲロ吐きましたね。
たられば:……(絶句)。

浅生鴨:これは本当に不思議なんですけど、知らないところからきている単なる文字なんだけど、「呪いの言葉」って、数が多いとちょっとやられますよね。僕の場合は自分とキャラを少し(人格を)分けていたので、まだ救いはあるんですけど、それでも千単位、万単位で「殺す」とか、「枝ぶりのいい松を知ってるぞ」みたいなのがどんどんくると、やっぱりちょっと(心が)どろっとしてきますよね。
たられば:文学的な脅し文句もくるんですね…。
SHARP:それで、ゲロ吐きながらも頭の中が冷静になっていく瞬間があるんですよね。普通そういう時って、「しばらくおとなしくしとけ」とか、「収まるまでじっとしとく」っていうのが、おそらくリスク管理のパターンではあると思うんです。
浅生鴨:ああ、でも、完全に大人しくしちゃダメなんですよね。本当に何も言わないとダメで。
たられば:え、そうなんですか? どうすればいいんでしょうか?
SHARP:極力、平常運転を見せるっていうことをしなきゃいけない。
たられば:大変だなぁそれは……。
浅生鴨:でも、そうしないと企業が毀損するんです。
SHARP:そうそう。だって企業活動は毎日あるわけですから。次の日にもおそらく報道もあるし、僕らだって日常の企業活動として新製品は出るし、で、こっちもこっちで「毎日喋る」っていうのは、わりとそこに重きを置いてやっているんで、このまま黙っていると次の日はもう喋れなくなるんじゃないか……っていう葛藤もあるわけです。
たられば:すさまじい覚悟ですね…。

SHARP:僕はそのときに、吐いたあとに、少しだけ冷めた頭で考えたんです。「殺せ」、「死ね」と言ってくる人って、なんというか「SHARP」って書いてある壁があって、そこに石をぶつけてるとか、生卵を投げている感じやなと思ったんですよ。
たられば:生身の人間がすぐそこにいる、とは考えていないでしょうね…。

SHARP:それで、これはちょっと勇気を出そうと思って、「殺すとか、死ねとか言われてますけども、だけどその壁の奥にはいちおう僕という人間がいて、それを全部聞いてますよ」っていうことだけは言おうって思ったんです。その夜に。
浅生鴨:「(そういうことを言われたら)凹むよね」くらいのことは書きますよね。
SHARP:(会社が立てている方針や経営の行方について)「いい」も「悪い」も僕にはわからないし、これからどうなるのかもわからないけど、少なくとも今日僕のところに届いている、「死ね」とか「殺す」とかは、一個も逃さず全部読んでますよっていうのを、その時だけは初めて連投しましたね。
たられば:「ここに人間がいるんだ」と。
SHARP:最後には、「でもちょっと終わらなあかんな」と思ったんで、「わたしのことは嫌いになってもSHARPのことは嫌いにならないでください」って書いて。 (※参考…この時のツイート https://matome.naver.jp/odai/2136257147356375301
たられば:おお、AKBですね。
浅生鴨:終わりのほうは緩めてね。たぶん書いてる最中に、これはちょっときつく行き過ぎたなって思って、どう緩くするかを模索してるっていう。
SHARP:「ふんわり」のパワーを信じたいっていう。だけど、「明日会社行ったらクビになるかなぁ」って思って書きましたけど、その連投が新聞記事になったんで、ちょっと助かったてのもありますね。

浅生鴨:僕の場合はずっと「放送法」が頭にありまして。
たられば:放送法…ですか。
浅生鴨:はい。特に3条と9条。3条っていうのは要するに、「干渉を受けない」、何人たりとも放送には介入させませんっていう条文で、9条は「間違ってたら訂正放送しますよ」、真実をちゃんとやって、真実じゃなかったら謝りますっていうことが書かれています。そのふたつの原則さえ守ってれば、まぁいいかなって思っていて。
たられば:なるほど。
浅生鴨:そのスタンス、3条と9条をベースに、第1条である「民主主義と公共の概念」っていうものを大切にしてゆこう、と。だから、極端に言うと、NHKがなくなってもかまわないと思ってたんですよ。
たられば:だ、大胆ですね…。
浅生鴨:本当の公共の福祉と民主主義の究極系がNHKの目指すものであったら、それが完成するなら組織はなくなってもいいよね、くらいの感覚なので、「その先の概念」で遊んでたって感じですね。
たられば:本当になんというか、白袴を着てふところに短刀を差して…という感じですね。
浅生鴨:今日のこれ、ぜんぜん役に立たないんじゃないか、僕らの話。
SHARP:(苦笑)


最小単位で「世間」と向き合う


SHARP:先ほど申し上げた「黙らないほうがいい」っていうのは、どう黙らないでいるかっていう話がいろいろあるんですけども、ただ最小単位で「世間」と向き合うには、たぶん個人になるしかないんですよね。「個」でどこまで対峙できるかっていうのは、SNSではできると思うし、それはやったほうがいいと思うんですよ。
浅生鴨:まあ…「個」なんだけど、絶対に企業をしょっちゃうんだよね。
SHARP:そうですね。まぁでも、最悪クビになるくらいですから。
浅生鴨:そうそう、クビで済むだけだからね。
SHARP:できんことはないと思うんですけどね

たられば:次の質問は今のお話に少し関係していることです。 「NHK_PRさんと浅生鴨さん、SHARP公式さんと中の人さんで、それぞれ性格に違いはありますか?」  先ほど「別人格を立てている」という話が出てるんですけども、とはいえ、どうですか、アカウントと中の人って、結局はすごくよく似ているんじゃないですか?
浅生鴨:それはもちろん、似てるでしょうし、けれども完璧に一致はしてないですよね。
たられば:どこらへんが一致していないんでしょうか。
浅生鴨:これは難しいところで、全然違う部分とすごく近しい部分を行きつ戻りつしている感じです。人形浄瑠璃っていうか、俳優が演じている役というか。
たられば:人形浄瑠璃という例えはわかりやすいですね。
浅生鴨:ただ、役所広司さんが何を演じても役所広司さんじゃないですか。これは失礼な言い回しじゃなくて、やっぱり役所広司さんがやっている役っていうのは、それは見れば「あぁ、役所広司さんの味が出ているな」と、そういう感じなわけですよね。もちろんそれぞれのドラマの中で役が違うっていうのは見ていればわかるんですけれども、でもまあ顔や声は役所広司さんなわけで、そう意味では僕とあのアカウントは、似ている。
たられば:アカウントの性格の特徴的なところってどういうところですか?
浅生鴨:NHK_PRは、どっちかっていうと天然に近い、どちらというとピュアなマインドを持っているキャラクターなんですけど、僕はもっと冷徹なので、どちらかというと腹黒いですから、そういう意味ではだいぶ違います。あのキャラは、かなり「いい人」ですね。

たられば:SHARPさんはどうですか。
SHARP:僕は先ほど申し上げたように、ツイッターを始めたときに「お客さんに近づくために、社員であることを半分やめよう」と思ったんですけども、それって逆に言ったら半分はまだ社員なんですね。それでもちろんツイッターは仕事でやっているので、だから出ているとしたら「社員としての僕」ですし、さらにその半分が出ている、という感じです。
たられば:半分出してるうちのさらに半分が出ているって感じですか。
SHARP:そうですね。いちおう僕、勤務中の振る舞いと会社が終わったあとの振る舞いはそれなりに違うんですけど、そういう意味では「社員を半分やめる」っていうのはこれと似ているなぁとも思います。会社を出たあとに食事に行って、でも知り合いに会ったら挨拶するし、名刺は持っているけど…というような状態ですね。

たられば:ふーむ、なるほど。ちょっと時間が押しているので急いで次の話題に移ります。 「もし今から自社の公式アカウントを任されて、一からなにかSNSでプロモーションしろ頼まれたら、何をしますか」。これは、ツイッター以外の話、インスタやFacebookでも結構です。浅生さんから、どうでしょう。
浅生鴨:プロモーションは、しないですよね。
たられば:おー、しない。そうすると、何をしますか?
浅生鴨:たぶん「そういうことをやれ」と命じる会社側の狙いって、「ブランディング」というか、最終的な目標って企業ブランドを高めることですよね。あんまりこう、「ものを売りに行く」とか「情報を伝えに行く」というよりは、イメージ操作というか…。そのほうがたぶん、長い目で見ればお客さんと一緒に居られる気がするので。 
SHARP:僕もたぶん、「ものを売る」って行為は極力しないと思います。今でもしていないですけども。
たられば:SHARPさんも、しない。
SHARP:今から何か新しくアカウントを立てるってやるなら、どっちかっていうと、僕はたぶん自社製品を推している人をさらに推す…っていうか、推している人を応援するようなアカウントだとか、メディアを使いますね。
たられば:ええと、このままだとあまりに参考にならないので(苦笑)、もうちょっとツイッターに絞った質問をします。企業プロモーションでなくて、ブランディングでもいいんですけども、「この先、何か情報を届ける手段としてのツイッター」について、どうお考えでしょうか。このままなのか、変わってゆくのか。

浅生鴨:これはですね、ちゃんとメモを書いてきたんですよ。 (スマホを取り出し、メモ帳アプリを立ち上げて読み上げる)
浅生鴨:えー、「通話、コミュニケーションツール、電話と同じ」。つまりですね、この質問は「プロモーション手段として電話をどう考えているのか」っていうのと同じような質問だと思いました。
たられば:電話をどう考えているのか。
浅生鴨:たぶんテクノロジーとしての「電話」が出てきたときに、「これからはテレアポがすべてを変える」と言った人がいるはずなんです。それと似ているなと。
たられば:あー、「これからは、これを使って商品を売ればいいじゃないか、と言い始めた人がたくさんいただろう」ということですか。なるほど。
浅生鴨:はい。プロモーションという発想は、「こちら側から向こう側へ情報を渡す」という感覚です。それは、なんというか「仲間」ではなくて「対立している関係」ですよね。
たられば:そうではないだろう、と。

浅生鴨:企業の中にいて、企業人としてユーザーに向かい合うのではなくて、その間の地平に立って、ユーザーと同じ方向、目線を揃えて仲間になる。一緒にその企業を作る、一緒に商品を作るところから始めないとダメだと思います。
たられば:それは…たぶんすごく大変ですね…。
浅生鴨:はい。外から言われることはもっともだし、中の論理もわかる人との間で、暴風に晒されることになるでしょう。引き裂かれるような感覚もあるでしょう。理解者も少ないでしょう。それでもギリギリのところで、外に立つべきだと思うんです。そのためには、まずは企業を出る覚悟が必要です。辞表を、もちろん実際に出すのではなく、心の中でいいからまず辞表を出すことから始めるといいと思う…っていうのが僕の回答です。
たられば:卒業式の送辞のような、すばらしいお話だと思います。


商店街の八百屋さんの、店先に立つ人のように


SHARP:僕も先ほど「半分会社を辞める」という話をしたので、鴨さんとほとんど同じような話になっちゃうんですけども、SNS公式アカウントの運用って、感覚としては商店街に昔からある、八百屋の軒先に立ってる人っていうイメージなんです。
たられば:その話、もう少し詳しくお願いします。
SHARP:路面店の軒先にいる人が何をしてるかっていうと、通りがかりの馴染みのお客さんに声をかけてるんですよね。「どうもどうも」とか、「今日は暑いね」とか「寒いね」とか言っているわけです。
たられば:あー、なんとなくわかります。
SHARP:「今日はお出かけですか、それはよかった」なんて感じで。それがこう、マーケティングになっちゃうと、「なんでお前そこでちゃんと白菜売らへんねん」っていうふうになりますよね。でもそういう人は普通、そういう売り方するわけがないでしょう。
たられば:そんな声のかけ方されたら、お店の前を通らなくなっちゃいますね。ウザくて。
SHARP:まず関係ない話もするし、例えば迷ってたら「こっちがいいですよ」って言うかもしれないけど、少なくとも世間話をしながら売るっていう、なんてうか普通の行為をしてるわけでしょう。
たられば:挨拶とか、昨晩やってたスポーツの話とか。

SHARP:僕なんかは、たまに(ツイッターで)「なに関係ないこと喋ってんねん」って怒られるんですけど、そんなことで怒られても意味がわかんないですよね、こっちとしては。
浅生鴨:馴染みになっていれば、いざ買おうと思った時に、「あの八百屋さんで白菜買おうかな」って思ってくれるわけで、そこでまったく知らない八百屋さんではなくて、いつも話してる八百屋に行くっていう、「その関係を作る」っていう作業なんですよね。
SHARP:そうそう。で、そういう意味ではたぶん「小商い」なんですけど、それをどこまで大きくできるかっていうロマンはちょっとあります。ありますけど、でも基本的には「小商い」の延長線上が一番誠実な力を持つと思うんです。
浅生鴨:だから、こっちとしては関係性を作ろうとしているので、もし仮に偽物を売ると、もう二度ときてくれない。なので、やっぱり誠実さが大事かなという。
SHARP:ですね。じゃあそれを「広告」と言うのかっていうとすごく微妙なところだと思います。「結果的に売れる」と思って僕はやってますけど、基本的にはなんか、「でかい小商いをしたい」って感じですかね。

たられば:すばらしいお話、ありがとうございます。本日は本当にお客さんが熱心で、食い入るように聴いている人が多くて、メモをとっている人もたくさんいて…。このあとに質疑応答があります。みなさん聴きたいことが山ほどあると思うのですが、いったん休憩を挟んで、そのあとに浅生鴨さんの最新著作、小説について話を聞きます。『伴走者』(浅生鴨著/講談社刊)という作品です。これはいい本なのでぜひ皆さん読みましょう。  

ともあれいったん休憩、そのあと著作インタビュー、そのあとに質疑応答です。まずは浅生鴨さん、SHARPさん、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

浅生鴨、SHARP:はいありがとうございます。よろしくお願いします。

会場:(拍手)

(休憩)



→第4部へ続く

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