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コミチさんの作品:マンガ『キョウカン鳥』を通して描いた実験的表現とは?!【マンガQ第2号 掲載漫画家インタビュー・chiku編】

いよいよ5月12日、共感系マンガ雑誌『マンガQ』の第2号が刊行されます。それを記念し、今回掲載されているSNS時代の新進気鋭のマンガ家13名にインタビューを実施しました!



今回のインタビュー相手は、マンガ『キョウカン鳥』の作者・chikuさんです。



普段は、ご夫婦の共同名義で創作活動を行っているchikuさん。



マンガ『キョウカン鳥』を通して描いた実験的表現とは?

これからのマンガ家に必要な、大きな視点とはなんなのか?



SNS時代において、世に熱狂を起こそうとしているマンガ家たちの声をお聞きください!




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『キョウカン鳥』の実験的表現




ーー本日はよろしくお願いいたします!『キョウカン鳥』読ませていただきました。



chikuさん:ありがとうございます!



ーー今回の作品は、誰かに共感してもらわないと自分の感想や気持ちに自信が持てない現代人を象徴しているように感じました。やっぱりそこのところがテーマになっているんでしょうか?



chikuさん:そうですね。あとは作画的なところで言うと、『ギャートルズ』の園山俊二さんの詩に「真っ白な紙にひかれた一本の線が地平線となり天と地にわける」という一節があるんです。マンガというのは、線を描き足していくことで世界が構築されていくんですね。それを意識しました。



ーーなるほど。今回の作品は実験的な表現のように感じます。



chikuさん:あとは、キョウカン鳥は「ツイートしよう!」と言ってるんですけど、スマホもパソコンも持っていないんですよね。テレビのように見えるものも、実際に猫が飛び出してきたりと、いわゆるテレビではない。すると、『キョウカン鳥』の世界はもしかしたら現代ではないのかもしれない、ということになるんです。昔かもしれないし、あるいはものすごく未来の世界かもしれない。そういうふうに、読者の人の想像の余地を残すことを意識しました。



ーー確かに、はっきりと規定されていないと色々な想像が膨らみますね。九官鳥をモチーフにしたのは、共感系雑誌マンガQの「共感」という言葉が先にあったからでしょうか?



chikuさん:はい。九官鳥というのは、昔は喫茶店なんかによくいて、客寄せパンダ的な存在だったんですよ。だから、『キョウカン鳥』がマンガQの客寄せパンダになってくれればいいなという思いも込めました。





100人の似顔絵を描いて、人の顔の面白さに気づいた




ーーchikuさんはご夫婦の共同名義で創作活動されているとのことですが、今回『キョウカン鳥』を描いてくださったのは、今インタビューに答えてくださっている旦那様の健一さんですよね。お2人はどのように役割分担されているんですか?



chikuさん:基本的には構成・絵コンテが僕の担当ということになっています。コルクBooksに投稿した作品で言うと、『チョコロイド』なんかは2人の共同制作ですが、『昭和の顔』と題した似顔絵連載は僕が描いたものです。



ーーそうなんですね。似顔絵連載を始めるきっかけは何かあったんですか?



chikuさん:昨年、商店街のイベントで似顔絵を描く仕事をしたんです。その時に100人くらいの人の似顔絵を描いたんですけど。



ーー100人!?すごい人数ですね。



chikuさん:そうなんです。でも、それがすごく楽しくて。当たり前なんですけど、100人いたら100人とも違う顔なんですよ。それで、もっといろんな顔を描きたいと思って似顔絵連載を始めたんです。



ーーそうだったんですね。





文化庁メディア芸術祭受賞をきっかけに、マンガの道へ




ーーchikuさんは、マンガに限らず様々な創作活動をされていますが、マンガを描こうと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?



chikuさん:ずっと妻と2人で創作活動をしていて、依頼されたものを描いたりイベントをしたりしてきたんですが、仕事ではなく自分たちのアイデアを形にしてみたかったんです。そうして描いたマンガ『SHI RI TO RI』が文化庁メディア芸術祭受賞  で奨励賞をいただいて。それをきっかけにマンガの制作も始めました。



ーーなるほど。そもそも、お2人が創作活動を始めたきっかけはなんだったんでしょうか?



chikuさん:2人とも結構似ていて、子供の頃から絵を描くことが好きで、描くことがアイデンティティのようなものなんです。例えば、僕の場合は昔から挨拶がわりに似顔絵を描いたりしていて、絵がコミュニケーションツールなんですよね。




コルクBooksには、マンガ界のレジェンドとはまた違った熱がある




ーーでは、ここからはコルクBooksについてお聞きしていきたいと思います。chikuさんは何がきっかけでコルクBooksを知ったんでしょうか?



chikuさん:3年くらい前だったかな。大阪で開かれたベンチャーコミュニティーに、コルク代表の佐渡島さんが講師としていらっしゃったんです。僕はそのイベントのチラシ作りを担当していたので、それもあって佐渡島さんにご挨拶させていただいて。コルクとの繋がりはそのときからですね。その後、コルクBooksが立ち上がったときに、おもしろそうだなと思って投稿を始めました。



ーー実際にコルクBooksに投稿してみてどうでしたか?



chikuさん:新しい作家だったり、読者の流れを知ることができていいなと思います。僕は(公社)日本漫画家協会というものに所属していて、マンガ界のレジェンドみたいな人たちのお話を聞くこともあるんですけど、その人たちは自分が作り上げてきたマンガへの情熱とか絵へのこだわりが半端じゃないんです。コルクBooksでは、その人たちとはまた違った若い世代の熱や、表現したい欲みたいなものに触れられるのがいいですね。



ーーなるほど。それぞれのコミュニティに違った熱があるんですね。chikuさんがコルクBooksに投稿するときに意識している点はありますか?



chikuさん:普段仕事で書いているものとは違って、様々な角度の作品を投稿していますね。「このタッチの絵にはどういう反応が来るんだろう」っていう実験なものとか、コルクBooksに集まっている人の傾向に合わせたものとか。実験的に利用することも多いです。




マンガは、街だって世界だってデザインできるかもしれない




ーーでは、chikuさんの今後の展望を聞かせていただけますか?



chikuさん:とにかく描き続けていきたいですね。去年、僕らが描いたマンガを見て、遺品整理会社からアニメーションを作って欲しいという依頼があったんです。思ってもみなかったのですが、取材させて頂くと家族のドラマがあったので、心をこめて制作しました。そういうふうに、描き続けることでそれを見た人がイメージを持ってくれて、思いもかけなかったものを描くことってあると思うんです。自分が考えもしなかったことに取り組むことが好きなので、新しいものにもどんどん挑戦していきたいです。



ーー最後に、これからの時代のマンガ家やクリエイターにとって大切なことはなんだと思いますか?



chikuさん:「マンガがどういうものなのか」という、マンガ家にとっての根の部分を知ることだと思います。石ノ森章太郎氏は、マンガのことを「萬画」(よろずが)と言っています。これは、マンガはあらゆるものを表現できるということです。例えばディズニーランドは世界一のテーマパークですが、あれも元はと言えばマンガの世界から出発していますよね。商業誌での連載というものだけにこだわらずに、「マンガで何かを伝える」ということを目指す。そうすれば、街や、さらには世界だってデザインすることができるかもしれない。そういう大きな視点を持つことが大切だと思います。



ーーありがとうございました!今後の作品も楽しみにしています。





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以上、『マンガQ 第2号』に掲載されているマンガ『キョウカン鳥』の作者・chikuさんへのインタビューをお届けしました。


ご夫婦でタッグを組み、実験的な表現にも果敢に取り組むchikuさん。今後の作品も楽しみです!



chikuさんのコルクBooksアカウントはこちら。そしてTwitterアカウントはこちらです。


ぜひ、マンガQを手に取り、マンガ『キョウカン鳥』を読んでいただきたいです!そして、chikuさんのこれからのご活躍に注目ください!



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