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(全16話)

佐渡島が考えるエンタメ企画をインタビュー形式でおすそわけします。

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どうやったら、オリジナリティのある企画を考えられるようになれるのか…?


この問いに対して、佐渡島さんは、型破りなオリジナリティを生み出すためには、定番の型を深く理解することが大切だと言います。


「いきなりゼロから新しいものを生み出そうとしても大抵うまくいかない。そもそも“型破り”というのは、読んで字の如く、型を破ること。型を抑えていない人は、永遠に型は破れない」


今月の『企画のおすそ分け』では、「物語設定の定番の型を深く理解する」をテーマに、幾つかの型をピックアップし、それぞれの型への理解を深めていきます


3週目となる今回は、定番の型のひとつである「サスペンスもの」についてです。


***


サスペンスの要素を加えると、作品離れを防げる?


(以下、佐渡島さん)


今回、理解を深めたい定番の型は「サスペンスもの」です。


サスペンスとは、観客の心を宙吊りにするという意味です。読者に謎を提示し、その答えがわからない宙吊りの状態のまま物語が進行していきます。


謎に惹かれた読者は、答えを求めて作品をどんどん読み進めます。読者を宙吊りにすることによって、作品離れが起こりづらくするというのが、サスペンスの特徴のひとつです。


現在は、世の中で流通しているエンタメコンテンツが膨大にあり、読者の気持ちが移ろいやすい時代です。そのため、作品離れを防ぐ意味でも、様々なジャンルでサスペンスの要素が取り入れられているように見えます。


そんなサスペンスものの大前提として気をつけたいことは、余分な情報を作中に入れ過ぎないということです。


サスペンスを読む際、読者は作品に描かれている全ての情報が、謎を解くヒントや先の展開への伏線になっているかもしれないと思って読んでいます。


そのため、情報量が多すぎると、読者にかかる記憶の負荷が大きくなりすぎてしまう可能性があります。


この描写が魅力的だから描きたいと思ったとしても、謎解きに関係ないものであれば、多くを描き過ぎないことが大切です。



その謎は、読者が答えを知りたいと思うのだろうか?


(以下、佐渡島さん)


そして、サスペンスものの最大のポイントは、謎がどれだけ読者の興味を惹きつけられるかです。


例えば、作中で殺人が起きたからといって、読者にとって全く知らない人物の殺人事件では、読者が興味を持つことは難しいでしょう。物語の冒頭に、死体があったと言われても、それだけで話に関心を寄せることはできません。


サスペンスでは、謎解きのトリックが重要だと思われがちですが、「この謎の答えを知りたい」という謎への興味喚起が一番重要なのです。


宇宙兄弟のシーンを例に、説明しましょう。


JAXAの宇宙飛行士選抜試験において、閉鎖環境の施設内で、福田さんという登場人物が、試験において重要なアイテムであった時計を、他のメンバーには内緒で壊す場面があります。そして、福田さんが壊したことを主人公のムッタと読者だけが知っています。


ここで読者に提示した謎は「なぜ、福田さんは時計を壊したのか?」です。


この時、福田さんが犯人だと読者には伝えず、「閉鎖環境の施設内にいる5人のうち、時計を壊した犯人は誰か?」という犯人探しの謎解きにすることも、物語の演出としては可能です。


ですが、福田さんのキャラクターとしての魅力が既に作中に描かれていたので、「今回の試験に必死な想いを持っている福田さんが、なぜこんなことをしでかしたのか?」という謎のほうが、読者の興味を強く惹くだろうと思ったのです。


このように、謎を提示するにしても、謎の見せ方・演出次第で、読者の興味が全く変わってきます。


この謎は、読者の興味を強く惹くことができるのか?

どういう風に演出すると、答えが知りたくなる謎として読者に映るのか?


サスペンスを考える際には、この問いを常に頭の中で繰り返しながら、企画を立てていくことが大切です。


(翌週へ、続く)


聞き手・構成/井手桂司 @kei4ide &コルクラボライターチーム

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どうやったら、オリジナリティのある企画を考えられるようになれるのか…?


この問いに対して、佐渡島さんは、型破りなオリジナリティを生み出すためには、定番の型を深く理解することが大切だと言います。


「いきなりゼロから新しいものを生み出そうとしても大抵うまくいかない。そもそも“型破り”というのは、読んで字の如く、型を破ること。型を抑えていない人は、永遠に型は破れない」


今月の『企画のおすそ分け』では、「物語設定の定番の型を深く理解する」をテーマに、幾つかの型をピックアップし、それぞれの型への理解を深めていきます。


2週目となる今回は、定番の型のひとつである「タイムスリップもの」についてです。


***


タイムスリップものと、スーパーパワーものは双子?


(以下、佐渡島さん)


今回、理解を深めたい定番の型は「タイムスリップもの」です。


主人公が過去の時代にタイムスリップする物語の型で、『JIN』、『ジパング』、『信長協奏曲』など、数多くの作品がこれまで誕生しています。


タイムスリップものは、主人公がスーパーパワー(超能力)を得る物語と、構造は基本同じです。


主人公が過去の時代に行くことで、周りがパワーを持っていない状態になり、持っている能力が際立つのがタイムスリップものです。『JIN』はその典型で、主人公だけが文明や知識を持っている。それにより、周囲から特別な存在だと見られます。


一方、スーパーパワーものは、周りの能力に変化はありませんが、主人公だけ何か特殊な能力を追加で得ることで、特別な存在となります。


ただ、タイムスリップの方が型の形が明確です。物語の前半にタイムスリップが発動し、主人公の存在により歴史を変えるかもしれない出来事が起こり、物語が帰結する。


また、スーパーパワーとなる能力の説明もいらないので、主人公が特別な存在であることが読者に理解されやすい


タイムスリップものと、スーパーパワーものは、双子のような関係の物語の構造になっていますが、タイムスリップの方が型として使いやすいかもしれません。


物語の法則を働かせるために、重要なこと。


(佐渡島さん)


タイムスリップものをやる時に、絶対に意識しないといけないことがひとつあります。


それは、「物語の中で、大きな嘘はひとつだけ」ということです。


面白い物語とは、読者が先の展開の予測ができる物語です。


「主人公は、このままだと、こうなるんじゃないか?」と予測をしながら読んでいるから、その予測を超えたり、予測を良い意味で裏切られたりするときに、面白みを読者は感じます。予測ができない限り、物語は絶対に面白くなりません。


そうした時に、タイムスリップという非現実的な出来事が起こる世界だからといって、何でもありにしてしまうと、読者は先の展開が予測できなくなってしまいます。


タイムスリップという大きな嘘(フィクション)を使ったなら、それ以外は嘘をつかずに、徹底的に現実に即した方が良い。そうすることで、物語の法則が働きます。


例えば、『JIN』でも、主人公が幕末にタイムスリップ以外に、すごい特別な能力を追加で得ることはありません。あくまで現代医療の範疇で、患者と向き合います。


『ジパング』でも、面白さを際立たせているのが、艦隊の大砲の数などがシビアに設定されていることです。制約のなかで、どうやりくりをするかが物語に深みを与えています。これが、未来とどこかで繋がっていて、大砲が打ち放題だったり、未来から援軍が呼べるような設定が入ったら、全然面白くなくなってしまう。


これは、タイムスリップものだけでなく、スーパーパワーものでも同様です。


物語の法則を働かせるために、大きな嘘はひとつだけにする。これがとても重要です。


(翌週へ、続く)


聞き手・構成/井手桂司 @kei4ide &コルクラボライターチーム

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どうやったら、オリジナリティのある企画を考えられるようになれるのか…?


漫画家はもちろん、企画に関わる多くの人が持つ悩みではないでしょうか。


この問いに対して、佐渡島さんは、型破りなオリジナリティを生み出すためには、定番の型を深く理解することが大切だと言います。


「いきなりゼロから新しいものを生み出そうとしても大抵うまくいかない。そもそも“型破り”というのは、読んで字の如く、型を破ること。型を抑えていない人は、永遠に型は破れない」


物語には、様々な定番の型があります。バディもの(相棒もの)、タイムスリップもの、サスペンスもの、成長もの、ロードムービーもの、ファンタジーもの。


そこで、今月の『企画のおすそ分け』では、「物語設定の定番の型を深く理解する」をテーマに、幾つかの型をピックアップし、それぞれの型への理解を深めていきます。


1週目となる今回は、「型を理解することの大切さ」と、定番の型のひとつである「バディもの」についてお届けします。


***


物語の魅力を大きく左右するものとは?


(以下、佐渡島さん)


今月のテーマは「物語設定の定番の型を深く理解する」です。


僕は新人漫画家を育ているときに、「世の中にある素晴らしいマンガや映画にどんどん触れて、そこから学ぼう」とよく話します。


その際に、特に意識して見て欲しいのは物語設定の型なんです。


設定には幾つか定番の型があります。バディもの、タイムスリップもの、サスペンスもの。様々な作品を見ることで、「今回の物語は、この型を使っているな」と見分けることができるようになります。


同時に、型についての理解を深めていくと、物語の魅力を大きく左右するポイントは、登場するキャラクターやエピソード次第ということもわかってくるはずです。


物語を創作するという長い歴史の中で、「こういう設定にすると、人間の心は動きやすい」という定番の型は既に出来上がっています。新人のうちはベタでもいいから定番の型を使い、キャラクターやエピソードを磨くことに時間をかけたほうがいいと僕は思います。


なぜかというと、キャラクターやエピソードは、他の作品を絶対に真似してはいけない部分だからです。ここを真似すると作品から個性が失われます。自分の体験や過去の感情など、作家の経験の中から生まれたキャラクターこそが、その作家らしいキャラクターになるからです。


定番の型の上に、オリジナリティのあるキャラクターやエピソードを重ねていく。そうすることで、型破りと呼ばれる作品に仕上がっていくのだと思います。


そのために、物語設定の定番の型を深く理解するということは、とても大切なのです。


***


関係をどう深めていくのかは、誰しもが知りたいこと。


(佐渡島さん)


理解を深めたい、ひとつ目の定番の型は「バディもの(相棒もの)」です。


教える側と教えられる側のふたりを中心に物語が進行します。困難に立ち向かう中で、ふたりの関係が時には逆転。そして最後は友情で固く結ばれる。これがよくあるバディもののパターンです。


刑事やスポーツ選手といった職業設定。大きな年齢差や真反対の性格といった条件設定。様々なバディのバリエーションがあり、多くの人に親しまれている物語の型がバディものです。


最初はバラバラだったふたりが、最後はアイコンタクトだけでお互いの意思疎通ができる間柄となる。そんな姿を見て、どこか羨ましいと思ってしまう。おそらく、「心が通じ合える親友が欲しい」ということが、人類共通の欲望なのでしょう。


「相手との関係値をどういう風に深めていくのか?」というのは、常に人間が関心を持つテーマです。バディものという型を使いつつ、ふたりの関係をどういう風に深めていくのかの演出により、作品にオリジナリティが生まれます


例えば、宇宙兄弟はムッタとヒビトのバディものですが、ムッタとケンジのバディの要素も含まれています。


ケンジは、初めて会った相手の年齢を当てるのが得意で、当てた相手と握手をする習慣を持っています。ムッタとも、それがキッカケで仲良くなり、ふたりは会えば必ず握手をするようになります。読者は、はじめは握手に特に意味を感じないと思います。ですが、ふたりの関係にとって最大の困難が訪れるエピソードにおいて、握手がふたりの友情を表す象徴的な意味を帯びるシーンが描かれます。それまでの関係を見てきた読者からすると、心が震える演出だったはずです。


相棒ものというと、似たようなものばかりなのではないかと思う人は、『月刊モーニングtwo』の創刊号を手に入れてみると勉強になるかもしれません。なぜなら、編集長が「創刊号に掲載するマンガは、全てバディものにして欲しい」と、漫画家にお願いしたからです。


その中の作品の一つが、『聖☆おにいさん』です。


作者の中村光さんは、バディものというお題を与えられた中で、キリストとブッダの共同生活という企画を考え出しました。『聖☆おにいさん』を読んで、これがバディものだと気づく人は、なかなかいないかもしれません。


でも、本当に優れたアイデアというのは、完全に型にはまっているのに、それに触れた人が型にはまっているのに気づかない。だから、聖おにいさんは型通りとも言えるし、型破りとも言えると思っています。


クリエイターとして、こういった作品を生み出すことを目指していきたいですよね。


(翌週へ、続く)


聞き手・構成/井手桂司 @kei4ide &コルクラボライターチーム

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17日前
なんでモー2はバディものを狙ったのか知りたいですねー^_^
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