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(全7話)

佐渡島が考えるエンタメ企画をインタビュー形式でおすそわけします。

お題
#なんでも掲示板
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コルク代表で編集者の佐渡島庸平さんが、温めている漫画の企画を「おすそ分け」としてシェアするこの連載企画。

1月の企画の立て方のテーマは、「大きな時代の流れを読む」です。

絶対に揺るがない不可逆な時代の流れとは何かを考え、その流れにのることで作品を多くの人が読みたいと思うものに仕上げる。

そんな「大きな時代の流れを読む」という企画の立て方で考えた、具体的な企画の題材を4つ紹介しています。

今回は2つ目の企画である「グルメ漫画」についてお届けします。


***


おいしい食事とはこれである

佐渡島:次はグルメ漫画。グルメ漫画って、すでにエッセイ漫画として大量に出ていますよね。


『孤独のグルメ』や『きのう何食べた?』、『ズボラ飯』、『極道めし』『ひとりごはん 』なんかもそうですけど、どちらかというと、作って食べる側の話なんですよね。


『ダンジョン飯』や『ゴールデンカムイ』なんかは食べるシチュエーションだったりするかもしれないけど、食べ方についてのグルメ漫画はいっぱいあるんです。


でも、『美味しんぼ』や『ミスター味っ子』の後を引き継ぐ、美味しい食事とはこれであると言い切るような、食の知識が深まる漫画というのが最近ずっとない。


レシピ漫画はあったりするけど、美味しんぼの後継漫画が存在してないなと思っていて、そういう時に、さっきの東大の話と一緒で、揺り戻しについて考えます。


僕は色んな人に話を聞くのが好きで、いろんな話を聞いている中で、牛肉関係者と鶏肉関係者の両方から同じような話を聞いたんですよ。


「いまの日本というのは、柔らかくて口の中でとろけるのが、美味しい病にかかっている」って。


“やわらかい”、“ふわふわ”、“とろける”。この3つの言葉が美味しさを表す言葉になってしまっていて、それはプリンだけにしてくれと。


牛肉や鶏肉とかが、口の中でとろけたりするのは美味しいとは限らないんだと。とろける肉が美味しいという風になっちゃっているので、牛肉だとサシが入りすぎちゃうんです。


鶏肉だと不自然なくらいに水を与えて、ある種、途中で鳥が苦しむような育て方をして最後は殺して食べるわけなんですけど、そうやって肉を柔らかくするそうなんです。


でも、畜産をやっている人たちが、いい肉ができて、食べて美味しいと思うのは、それなりに歯ごたえがあって、噛みごたえがあるお肉で、いまは自分たちが美味しいと思っているものが、市場に出せないって言うんですね。


最もお肉に詳しい人たちの最高と思っているものが、市場で評価されていないというのは、食が歪んでいる状態だと思っていて、この歪みというのは絶対に揺り戻しが来るんだろうなと。


そして、この揺り戻しがなんのきっかけで来るのかっていうのは、わからないんだけど、そのキッカケが自分の漫画だったら嬉しいですよね。食の知識というものが、もう一回語られ直すというのは、すごく良いだろうなと思っています。


食の知識のアップデートが必要


今って畜産の仕方や、分子料理(食材や調理のプロセスを分子レベルで捉える調理方法)とかにしてもそうだし、技術的な進化というのが、食の方にもう一回きています。


AIの力を借りることもできるし、レシピをどうやって作るのかといったことや、美味しいとは何かといったことが、もう一回科学的に研究されだしている。


食の知識自体も一気に広がって、深みがあって面白い状態になっていってるから、それは確実にみんな知りたいところだろうなと思います。


食べる状況をパッと書ける人はいっぱいいるだろうから、グルメ漫画が当たるとなった時に、ガーッと広がったわけですが、やっぱり本質的というか、正しい知識への需要というものはあって、正しい知識を手に入れる一手間をかけた漫画というのは確実に面白いです。


食というのは全員が興味のあることだから、全員が興味のあることに対して、正しい知識を発信していくのは絶対に当たります。


そして、さっきの話のような歪んだ知識が広まっているという状況を見つけると、そこから面白くできますよね。


だから、口の中で「ふわーととろけて消える」というのは許さん!と思っている料理人が登場する一話目というのは印象的だと思うんです。その言葉を聞くたびにイラっとするっていう人が。


ワインだって、なにも知らないで、すごい上等なワインを飲んでも、「渋っ!飲めない!」となってしまう可能性だってあるわけで、実は美味しいというのは、頭で味わうところもありますからね。


ということで、グルメ漫画はイケるのではないかと思います。


聞き手・構成/頼母木俊輔 @MOGGYSBOOKS  &コルクラボライターチーム


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コルク代表で編集者の佐渡島庸平さんが、温めている漫画の企画を「おすそ分け」としてシェアするこの連載企画。


1月の企画の立て方のテーマは、「大きな時代の流れを読む」です。


絶対に揺るがない不可逆な時代の流れとは何かを考え、その流れにのることで作品を多くの人が読みたいと思うものに仕上げる。そんな「大きな時代の流れを読む」という企画の立て方で考えた、具体的な企画の題材を4つ紹介しています。


今回は、テーマである「大きな時代の流れを読む」の意味と、1つ目の企画である「中国の人達が楽しめるコンテンツをつくる」についてお届けします。


***


揺るぎなく、不可逆なものとは何なのか?


佐渡島:今月の企画の立て方のテーマは「大きな時代の流れを読む」です。


僕は、漫画家や作家が作品を作る際には、“自分らしさ”というものを作品に出すことが重要だと思っています。なので、その時々の瞬間的な時代の空気感に作品を合わせにいくような企画の立て方はやめて欲しいと思っているんですね。


でも、世の中を見回した時に、揺るぎなく不可逆な大きな時代の流れを意識することは大切です。


さらに、その流れの中で“淀み”が生じている箇所があれば、ヒットに繋がる可能性がとても高いと考えています。


『ドラゴン桜』も、この淀みを発見したところから始まった企画でした。


当時は、週刊誌などで、「東大の価値が下がってきている」とよく報道されていたんです。東大卒より早慶卒の人の方が就職してからのパフォーマンスが高いだとか、東大に入ると就職がしづらいとか。


でも、実際には、報じられるほど、東大の価値が下がっているわけではなかったんです。明治以降150年間、東大の地位は揺るがなかった。そして、世界全体を見渡してみても、各国のトップと言われる大学は、ほぼ国立の大学なんです。それが、ここ5年、10年で揺らぐ可能性の方が圧倒的に低いわけです。東大が築いてきた地位はそう簡単に崩れないという大きな流れの中で、まさに淀みが生まれていました。


そう考えた時に、やっぱり東大は目指すべき場所であることを漫画で描くこと自体に価値がありますし、「やっぱり、東大はすごい」と時代の風向きが戻った時に、その流れにのって漫画が大ヒットになる可能性があるわけです。実際にドラゴン桜はそうでした。


『宇宙兄弟』も同じです。企画を立てていた当時は、宇宙をテーマにした記事って、ほとんどメディアで見かけなかったんです。むしろ、宇宙開発への予算は抑えた方が良いんじゃないかという議論があったり、産業としても危ぶまれていました。


でも、大きな視点で見ると、宇宙開発で人類が月に行くことって、いつの時代も確実にワクワクすることなんですよ。人間の宇宙への関心は絶対に尽きるはずがないと思っていたんです。


実際に、宇宙兄弟が連載開始して2年後くらいに日本で新しい宇宙飛行士の募集が始まり、新しい宇宙飛行士が生まれました。今では『スペースX』だったり、宇宙に関する様々なニュースが日々報道されていますよね。『宇宙兄弟』も大きな時代の流れにのって、大ヒットした作品と言えると思います。


もしかすると、“投資の神様”と呼ばれるウォーレン・バフェットの株の買い方の考えに近いのかもしれません。彼はカミソリ会社の大株主になっていますが、その理由はどんなに技術が発展しても、ヒゲを剃る人は絶対にいるからカミソリの会社は安泰であろうという考え方に基づいています。バフェットも、トレンドに流されず、長期的な視野を持つことが大切だとよく言います。


絶対に変わらないであろうという、大きな時代の流れを読みながら、企画を考えることは、すごく重要です。そして、そこに淀みが生まれていたら、大きなチャンスかもしれません。


***


中国の古典を、どうリメイクするか?


佐渡島:ということで、「大きな時代の流れを読む」というテーマで、今月は4つの企画を話します。


初回となる今回は、一番わかりやすい大きな時代の流れを紹介します。


それは「中国の人達が楽しめるコンテンツをつくる」ということが、これから大ヒット漫画を生み出す可能性が高いということです。


人口が多く、中流層が増え続ける中国の人達が、コンテンツにますますお金を払うようになるというのは、どう考えても絶対的な流れです。なので、中国の人達が楽しめるコンテンツを作ることができれば、市場が圧倒的に広いので、特大級の大ヒット作品に繋がる可能性が高いわけですね。


そのなかでも、僕は中国の古典を描いた作品に魅力をすごく感じています


例えば、『三国志』や『西遊記』などの中国の古典は、これまでに何度もリメイクをされるほど、人気があります。そして、中国の古典や歴史が舞台の作品って、日本人にもすごく人気がありますよね。最近の『キングダム』の流行りを見ていても、そう感じます。


僕は、今の時代、全く新しい物語をつくることだけではなく、過去の作品をどうリメイクするのかが非常に重要だと思っています。そこでいうと、中国の古典ってリメイクをする対象としてすごく魅力的なんです。


そう考えた時に、中国人にとって「知ってるようで、知らなかった」という古典を探して、それを漫画化すれば、中国人にも、日本人にも、大ヒットする作品がつくれるかもしれません。


僕は、僕らの知らない素晴らしい中国の古典が、まだまだ沢山眠っているはずだと思っています。


「中国は日本から色々とパクる」みたいなことを言う人がいますが、長い歴史から見たら、中国から日本が学んでいることのほうが圧倒的に多いわけです。昔から、中国から日本にきた渡来人などが、日本の政治も文化もリードをしてきました。


このように、中国の人達のコンテンツをつくる力というのは、素晴らしいものがあるので、きっと今の時代に生きている人でも夢中になる古典が沢山眠っているはずです。しかも、それを掘り当てた時は、日本人も、中国人も楽しめる超特大級のヒット作品になる可能性が高いわけです。



ということで、「大きな時代の流れを読む」という企画の考え方の1回目は、絶対に不可逆な流れということで、「中国の人達が楽しめるコンテンツを作る」を紹介しました。


中国の古典の山に宝があるかもしれないということで、それを探しにいってもらえればと思います。また、「こんな面白い中国の古典があるよ」とご存知の方がいたら、是非教えて欲しいですし、その漫画化にチャレンジしていただけると嬉しいです。



 聞き手・構成/井手桂司@kei4ide &コルクラボライターチーム

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8日前
聊斎志異がとても好きです。中国の古典はほんとにおもしろくて大好きです。
絶版かもしれませんが、平凡社の中国古典文学大系シリーズというのがあって、タイトルがずらりとまとまっていて、どんな作品があるのかチェックするのに便利です。何冊か面白そうだと思って買ったまま積読になっているので、これを期にまた読んでみたいと思います。

7日前

ケンケンすごいな!!

6日前

ケンケンチャンス!!!
いっちゃえーーー!^_^

6日前

>ふむさん
たまたま趣味が…。「知ってるだけ」から、「漫画がかける」になりたいです。

6日前

>こしの先生
うおー!技量がついたらと思ってたんですけど、下手でもどんどん描いてみるほうがいいですね!

6日前

まじ!ここは攻めどころかもよ!
描いてるうちにモノになるし、世界制覇
狙える!!

6日前

世界制覇…描くしかないですね!!!
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#みんなの企画
原作
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コルク代表で編集者の佐渡島庸平さんが、長年温めてきた漫画の企画を「おすそ分け」としてシェアするこの連載企画。


※企画背景についてはコチラ→『このアイデア、作品にしませんか? 編集者・佐渡島庸平の企画のおすそ分け、始めます! 』


12月の企画テーマは、「感情が強く動いた瞬間」です。ものすごく強い感情が生まれた(生まれたであろう)瞬間を見つけ、その感情を最も有効に伝えるための物語をいかにして紡いでいくか。「瞬間の感情を軸にする」というアプローチの物語のつくり方として、具体的な企画を4つ紹介しています。


***


娘を失った父親が、娘の心臓を移植された男性の鼓動を聞く


「強い感情が生まれた瞬間を漫画にしよう」がテーマの、最終回。


4つ目となる今回の題材は、佐渡島さんが「これは物語のきっかけになる!」とtwitterでもシェアしたノンフィクション映像から。感情が強く動いた瞬間を見つけるのは、世に広まっている動画からでもいいのです。


佐渡島さんの琴線に触れた動画はコチラ→急死した娘の心臓を移植され命を救われた男性に会いに来た父親、亡き娘の心臓の鼓動を聞く


プールの事故で、ある日突然20歳になる娘を亡くした父親。脳死状態になった娘の心臓は、心不全の成人男性に移植されました。


悲しみにくれた父親は、移植された男性の家まで自転車で旅をします。その距離、2200キロ。


ようやく会えた父親は、移植先である男性から聴診器を受け取ります。「どうぞ(聞いてください)」と男性。父親は、聴診器を通して、動き続ける心音を聞きます。そして、小刻みに震えながら静かに涙を流すのです。


今回は、娘の鼓動を聞いたこの父親が「娘に会えた!」と思えた瞬間について。


愛娘を亡くした父親は、どんな思いから移植した心臓の音を聞きたかったのか?


そして、娘の心臓を探して、再会した(鼓動を聞いた)。この瞬間の強い感情が最も伝わるような物語はどうすれば作れるのだろうかと考えて、物語を描けばいい。そう佐渡島さんは言います。


では、今回の企画のポイントを、佐渡島さんから詳しく教えてもらいましょう!


***


刻みづける娘の心音を聞くことで、娘に会えた……!


佐渡島: 「この瞬間って、ものすごく強い気持ちが生まれたにちがいない!」。 そんな風に思うのは、日々のニュースや動画の中にもたくさんあります。


この動画は、たまたま見つけた実話です。


娘さんを、事故で亡くしたお父さん。娘は脳死状態となり、その心臓は移植に使われて、娘とはまったく似ていない黒人男性の心臓になりました。


基本的に、臓器を提供する側は、移植してもらった相手と会うことはできないといわれていますよね。娘の死後、このお父さんは家族として臓器提供に承諾したわけで、移植先の相手に会えないことも、会っちゃいけないこともわかっていたと思うんです。


でも、娘を失った深い悲しみのなかで、会いたい気持ちは募っていった。


「娘に会えなくてもいい、その心臓の鼓動を聞きたい」。そう願ったのではないでしょうか。


お父さんは、娘の心臓によって命を救われた男性を探して、たどり着きました。対面して聴診器を受け取ったお父さん。


男性の胸に聴診器を当て、静かに心音を聞く。心音に耳をすましているときのお父さんのたたずまいが、めちゃくちゃ魅力的なんですよね。


ドク、ドク、ドク、ドク、ドク……。


鼓動を感じたときの、お父さんの気持ち。「娘に会えた!」という感情を、物語にしてほしい


このシーンをクライマックスにして描いてもらえると、僕としてはうれしい。


感情の強い瞬間を見つけたら、そこをピークに持っていくために広げていく。この瞬間の気持ちを最も伝わる物語にするためには、その前でいかに描くのがいいのか。過不足なく考えていくわけです。


「この感情を描きたい!」という強い思いを、漫画家は持っておいてほしい。


小山宙哉さんは、『宇宙兄弟』の連載を始めた当初から「この感情を描きたい!」とずっと考えていたことがありました。


ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬の開発をする伊東せりかが、顕微鏡をのぞいてALSの治療薬開発に大きく近づく細胞を見つけたその瞬間。その時のせりかの感情を描きたい、と。


感動であふれ出る涙が無重力でせりかの周りを囲む。無重力ならではの涙の絵を描きたいと、小山さんは初期から決めていたようです。


作家自身が強く思い、そこをどう演出するかに注力することはすごく重要です。


いろんな人の感情が強く動いた瞬間を探し続けることこそ、漫画のネタを探すということ


その瞬間を見つけたら、メモしておくことをオススメします。その一つひとつを軸に、短編も長編も必ず作ることができます。


ぜひ、意識してみてください。


***


「強い感情が生まれた瞬間を漫画にしよう」シリーズは、今回でおしまい。次週からは、「大きな時代の流れを読んで漫画にしよう」という視点から、企画の立て方や作品のつくり方を学んでいきます。


聞き手・構成/平山ゆりの @hirayuri &コルクラボライターチーム

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